富沢一郎ドットコム_OKRとパフォーマンスレビューを分離すべき理由

OKRとパフォーマンスレビューを分離すべき理由

一般的に、企業が目標設定を行うのは2つの主要目的を達成するためです。

  1. 従業員のモチベーションを高め、調整するため
  2. パフォーマンスを評価するため

OKR(Objectives and Key Results)の目標管理手法を採用した多くの企業が、社員の報酬評価にOKRを使おうとするのは自然な流れです。本記事では、なぜOKRを報酬評価に使うべきではないかに加えて、どのようにこれらを扱うすべきかを紹介します。

企業で成功するための方法

私は、大企業・スタートアップそれぞれで数年働いてあることに気づきました。それは、

「企業の中では成功するためには、どれだけ貢献したかは重要ではない。重要なのは、自分がどのように貢献しているように見えるかだ」

ということです。驚くべきことに、これは企業の規模や大きさに関係しない、ということでした。

もちろん、どちらの企業でも、私は当初積極的な目標を設定し、その達成のために努力していました。しかし、四半期のレビューのタイミングで、少しでもうまくいかないことがあると、上司はこの内容を元に私を減点評価しがちなことに社会人になってしばらく経つと気がつきました。そこで私は、なるべく小さな目標を設定し、その目標にできるだけ早い段階で達成の目処をつけ、確実に完了させることで自分の時間を作り出すようにしました。私だけに限らず、企業で働く限り「それは自分の評価に繋がるのか」ということは従業員の行動を規定します。

では、OKR(Objective and Key Results)に基づいてパフォーマンスレビュー(給与設定)を行うと何が起きるでしょうか。

OKRに基づくパフォーマンスレビューは、従業員が目標を過小評価し、達成度を過大評価することにつながります。これは、インセンティブの発生により予想される論理的な結果となります。

以下では、OKRとパフォーマンスレビューをしっかりとリンクさせようとすると現れる主な問題点と、それを回避するためのヒントです。

OKR目標と給与設定を連動させた場合の問題点

問題点1:目標が過小評価されている

理論上は、Objectivesは向上心を持って設計すべきです。このためチームメンバーは、自分が達成可能だと思う以上のストレッチゴールを設定することが奨励されます。ストレッチゴールを設定したチームは、その高い目標を達成するために、創造的な解決策を探し、工夫をします。しかし、現実的な話としてほぼ全てのケースで、チームメンバーは目標が未達に終わります。OKR目標と給与設定を連動した場合、目標の未達は給与増加につながりません。このため、未達成に終わるリスクを減らすために、チームメンバーはさらに低い目標を設定します。

なお、ここでは、Google流のムーンショット目標、つまり70%~80%の達成率であれば許容、という目標について話しています。もしあなたのチームが100%達成すると期待しているものを使っている場合には、密接に結びついたパフォーマンスレビューが少しは機能する可能性があります。しかし、長い目で見れば、目標が控えめになってしまうでしょう。以上より、チームメンバーの成果に対する目線を上げるためにも、高い目標、低い目標、ともに報酬と連動した場合にチームの士気を下げることに長期では繋がります。

問題点2: 達成度合いの誇張

問題1で高い目標を設定した結果未達に終わる気配が漂い始め、チームメンバーが目標を下げ始めたとき、報酬を得るために彼らは依然として自分たちが適切な業績を出していることをアピールし、組織への貢献を正当化する必要があります。そして、そのようなチームは、組織に対する自分の影響力を誇張してしまいます。そうすると、実際よりも高い貢献をしているように見せかける文化が生まれてしまいます。そして、このような文化は組織の雰囲気を確実に悪くします。

さて、これまでに問題ばかりあげてきましたが、OKRとパフォーマンスレビューを連動させるためにはどうすれば良いでしょうか。

解決策1: 2つのプロセスを分ける

OKRとパフォーマンスレビューを緊密に結びつけるのではなく、できるだけ分離しましょう。このようにして、時間差を作ることで、OKRの達成に集中する期間と、評価の振り返りに集中する期間をチームメンバーに持たせることができます。

解決策2:パフォーマンスレビューに際して考慮する材料の一つとしてOKRを使う

もちろん、パフォーマンスレビューからOKRを完全に切り離すことはできません。しかし、それはパフォーマンスを評価するための材料の1つに過ぎず、全てではありません。そして、OKRの完了スコアを評価する際には、他の多くの要素を考慮に入れます。例えば、

・その目標がどれだけ難しいか

・どれだけ重要な目標だったか

・自分の行動がチームや組織にどのような影響を与えたか?

・チームメンバーが貢献した他の分野は何か

などです。

従業員として考慮すべきことと経営が考慮すべきことは全く異なる

さて、ここまで色々と記載して元も子もないことを書きます。現実的に客観的なパフォーマンスレビューのプロセスを作ることはほとんど不可能であり、常に主観に左右されるものになります。このような状況で運営される組織において、以下にして被評価者としてのあなたが、ご自身を評価させるかというテクニックをまとめた電子書籍が下記の書籍になります。こちらは、如何にして自身の評価を適切にさせるための自己評価を書くかという一点に焦点を絞った書籍です。宜しければご覧ください。

書籍へのリンク
富沢一郎ドットコム_こんにちは本日は注目スタートアップのビジョン/ミッション/バリューを調査した結果を公開いたします

こんにちは本日は注目スタートアップのビジョン/ミッション/バリューを調査した結果を公開いたします

調査の対象

東洋経済すごいベンチャー100(2020年8月22日号)

富沢一郎ドットコム_今回の調査対象は東洋経済すごいベンチャー100の会社が対象です

この記事からわかること

東洋経済すごいベンチャー100の最新版に登場した企業について、各社ホームページに掲載されているビジョン/ミッション/バリューの制定状況

なぜスタートアップにビジョン・ミッション・バリューが大事なのか

はじめに、スタートアップになぜビジョン・ミッション・バリューが大事なのかについては、

・スタートアップで生じるごたごたをお金を使わず解決するための手段がビジョン・ミッション・バリュー

だと前回述べました。では、世間的に注目されているスタートアップは、どの程度ビジョン・ミッション・バリューを定めているのでしょうか。2020年9月30日時点情報で各社ホームページより私が調べた調査結果をお届けします。

調査対象の全体観:満遍なく分布する17カテゴリの100社

富沢一郎ドットコム_調査対象のカテゴリ分布

では、調査結果に参ります。今回調べたスタートアップは以下のように満遍なく17のカテゴリに分布していました。(なお、17のカテゴリ分けは東洋経済新聞社さまによるものです。)調査対象の社数は100社で、

  • 巨額調達
  • ユニコーン
  • 連続起業家・元社長
  • 大学発
  • 広告・マーケティング
  • 業務支援
  • 人事
  • 住まい・暮らし
  • 小売り・飲食
  • フリマ・通販
  • 物流
  • エンタメ
  • デバイス
  • データ・セキュリティー
  • 医療・介護
  • 行政
  • 金融

になっております。最も多い業務支援の会社数が11件、最も少ないユニコーンが2件、平均値・中央値が共に6件ということで満遍なく分布している、ということが言えそうですね。

富沢一郎ドットコム_やや業務支援が多いことを除き満遍なく分布しています

まずはビジョン/ミッション/バリューのベン図

富沢一郎ドットコム_ビジョン/ミッション/バリューの重複

ビジョン/ミッション/バリューのベン図については、以下の通りになっています。つまり、ビジョン、ミッション、バリューそれぞれがかぶっているものと部分的に被っている会社が存在するということです。では、それぞれの分布を見ていきましょう。まず最初にそれぞれの分布です。

富沢一郎ドットコム_ビジョン/ミッション/バリューの重複とその実数

ビジョン・ミッション・バリュー全てが揃っている会社は12社

富沢一郎ドットコム_ビジョン/ミッション/バリューの重複で全て揃っているの会社は12社

ベン図の中で一番真ん中の数字がビジョン・ミッション・バリューの全てが揃っている会社の数です。12件なので、ざっくりと10件に1件はビジョン・ミッション・バリューが全て揃っています。これらの会社の特徴は次回に述べるとして、他の部分も見てみましょう。

ビジョン・ミッション・バリューのうち、2つが揃っている会社は24社

富沢一郎ドットコム_ビジョン/ミッション/バリューの重複で2つ以上が揃っているの会社は24社

続いて、ビジョン・ミッション・バリューのうち、いずれか2つが揃っている会社を見てみましょう。ベン図より、いずれか2つが揃っている会社の数は24、ということがわかります。一番多いのはミッションとバリューが揃っているパターンで、会社としての使命と会社としての規範、ということでわかりやすい組み合わせなのでしょうね。余談ですが、ビジョンというのは会社としてのありたい姿を指します。確かに、ありたい姿をいきなり掲げる、というよりも自分たちが世に提供する価値をミッションで規定して、それを追い求める過程で、価値基準としてのバリューを掲げて従業員をマネジメントしていく、というのがスタートアップという会社の成り立ちとしては自然なのかもしれません。

ビジョン・ミッション・バリュー、どれも揃っていない会社は33社

富沢一郎ドットコム_ビジョン/ミッション/バリューの重複で何もない会社は33社

ベン図で解説する全体観の最後の項目になってきましたが、いずれの情報も入っていない会社は、33社ありました。東洋経済さんの特集に載ったことで、掲載されている会社を調べる未来の転職候補者はたくさんいると思うんですが、ただ単に綺麗な画像だけだったり、キャッチコピー、経営陣の名前とオフィス所在地しか掲載されていないホームページもそれなりに存在し、本紙掲載から私富沢が調査をした時点で1ヶ月が過ぎているにもかかわらず、ちょっともったいない感じました。私富沢自身もメガベンチャーからスタートアップへと転職した組みだったので、確実にこれらの特集は買ってましたね。一方で、スタートアップの状態を考えると、このようなPRに対して気を使うことができるようになって専属の担当をつけられるタイミング、というのは資金調達ステージも比較的後半だったりします。なので仕方ないっちゃ仕方ないんですが、スタートアップ業界を愛しているものとしてもったいないな、とは思いました。

最後に

今回、世間一般に言われている注目スタートアップのビジョン・ミッション・バリューについて横断的に調査をいたしました。いかがだったでしょうか。今回は具体的なビジョン・ミッション・バリューについて個社の単位で取り上げることはできていませんが、次回以降は、それぞれに分布している企業を紹介し、どのようなことが言われているかを特に従業員管理の観点で大切になる「バリュー」について解説していきたいと思っています。引き続き、富沢一郎ドットコムをご愛顧いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

富沢一郎ドットコム_以上です。ありがとうございました。
富沢一郎ドットコム_こんにちは本日はスタートアップになぜビジョン/ミッション/バリューが必要になるかをダイソンの風という概念に頼りながら説明します

こんにちは本日はスタートアップになぜビジョン/ミッション/バリューが必要になるかをダイソンの風という概念に頼りながら説明します

なぜスタートアップにビジョン・ミッション・バリューが大事なのか

はじめに、スタートアップになぜビジョン・ミッション・バリューが大事なのかを各ステークホルダーに対して、述べます。

(1)ベンチャーキャピタル(スタートアップへの投資家)から見た視点

まず、この東洋経済すごいベンチャーに掲載されているスタートアップは、全て非上場企業です。したがって、売上・利益の業績は一切世に公開されていません(一部、スタートアップの中でも資本金が所定の金額より大きい会社には官報に貸借対照表を公開する必要があります)。このため、

  • どの程度、何をして儲かっているか?

ということを判断するにはホームページや、従業員のインタビューなどを見る他ありません。ホームページには事業内容や経営者の経歴・本社所在地は書かれていますが、果たしてそれがどのような世界を作るために行われている(と対外的に説明している)のかということはこれらの情報からはわかりません。そこで、経営者の思いの部分となるビジョン・ミッション・バリューが大切になってきます。

(2)従業員/転職候補者から見た視点

スタートアップに入るメリットとして、成長できることを挙げる方は多いです。しかし、成長、というのは原則として成果を追い求めてがむしゃらに働いた結果の産物であることが基本です。このため、スタートアップに入るメリットとしては、上場時のストック・オプションなどの金銭的なメリットがありますが、中には単純に大企業に入る能力がない方達もいらっしゃいます。以下の模式図を見てください。

富沢一郎ドットコム_スタートアップ勤務者の人材マトリックス

この図を簡単に説明すると、サラリーマンとしての能力の高低、インターフェース(人当たり)がマイルドか、ストロングかという四象限に分けられます。ここまではよくあるスキルとやる気、みたいな分類とそこまで変わりはありません。

富沢一郎ドットコム_スタートアップ勤務者の人材マトリックス(とその特徴)

しかし、スタートアップって、本当に大変です。人が増えたら増えたで気の合わない人とも働かなくてはいけませんし、大企業と違って、人材の能力のばらつきは結構激しめです。確かにスタートアップは日々やることが変わるので、上記象限でいう人財クラスにとっては楽しい環境ですが、問題は「最悪」と「闇落ち予備軍」の間に吹いている「ダイソンの風」なんですね。

富沢一郎ドットコム_スタートアップ勤務者の人材マトリックス(とその特徴とダイソンの風)

ダイソンの風、とは何か

ダイソンの扇風機を使ったことはありますでしょうか。特段涼しいわけでもないが、確実に吹き付ける風。これがスタートアップでも吹くんです。上場の期待値で頑張っている人たちが、「最悪」層の悪口にそそのかされて、闇落ちしちゃうんです。本当にこれは見てて、辛いです。だってもとは能力こそ低くてもインターフェースマイルドですごくいい人たちだったんですもの。

ということは絶望しかないのでしょうか?

これらの「最悪」層のインターフェースがストロングスタイルの方達に共通して、

  • 評価されてると感じない
  • → 給与が上がらない
  • → これが繰り返す
  • → 闇落ち

という遷移があります。人間が動くときの同期には、ピュアに金銭的インセンティブだけで動く方ばかりだと私は思いませんが、このゾーンにいる方達は、

  • ベースとしての挨拶などもできない
  • そもそもロジカル・コミュニケーションが通じない
  • 話が独善的で「普通」、「絶対」などという言葉を容易に使用する

などの特徴を持つ傾向があり、そもそも他人から仕事で感謝されることが慢性的に不足していることが多いです。もしも会社に資金が無限にあり、従業員から不満が発生した瞬間にお金で解決することができれば苦労はしませんが、数十億円という大型調達している会社でも、従業員の給与なんてそう簡単に上げることはできません。また、仮に給与を上げることができたとしても、上げ続けるということは難しくなりますし、結局人間は差分でしか良い変化も悪い変化も認識できませんので、給与による昇給には限界がきます。このように、使えるコマは少ない。一方で従業員にホイホイと辞められると困る、というのがスタートアップ企業の経営者が抱えている悩みの種なんです(これはtwitterでおちゃらけ投稿をしているどんな経営者も共通して抱えている悩みです。)。

お金をかけない解決策:ビジョン/ミッション/バリュー

さて、あまりに引っ張るとそろそろ離脱されそうなので、ここで結論を書きます。お金をかけずに従業員を鼓舞する、ないしは統制するためのツールがビジョン/ミッション/バリューなんです。次回、東洋経済社が「すごいベンチャー100」にて発表した注目スタートアップに掲載されていたスタートアップたちの設定しているビジョン/ミッション/バリューを調査したものを解説致しますが、基本的にビジョン/ミッション/バリューは全て、「会社の目的は楽して利益を出すことである」ということを

  • 対外的にうまく伝えるため
  • 社内的に金銭以外の手段を使って従業員をモチベートするため

ということのために作られています。人が2人以上集まる以上、価値観の相違・利害関係の相反などは容易に発生します。これらをお金を使わず解決するための手段がビジョン・ミッション・バリューなんですね。

最後に

少し抽象度の高い話をしましたが、次回は具体的に私が調べた結果を元に注目スタートアップにどのような特徴があるのかということを解説したいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

以下は、サラリーマンとして働く上でどのように社内評価を上げるかを解説した書籍です。基本的に被評価者のために書いていますが、管理職の方も、「このように自己評価を書くように」と部下に促すことができる内容になっています。よろしければぜひお読みください(kindle unlimitedなら無料で読めます!)。noteにも同様のコンテンツを用意しています。

https://note.com/ichirotomizawa/n/n5e7b0d165d55