一般的に、企業が目標設定を行うのは2つの主要目的を達成するためです。
- 従業員のモチベーションを高め、調整するため
- パフォーマンスを評価するため
OKR(Objectives and Key Results)の目標管理手法を採用した多くの企業が、社員の報酬評価にOKRを使おうとするのは自然な流れです。本記事では、なぜOKRを報酬評価に使うべきではないかに加えて、どのようにこれらを扱うすべきかを紹介します。
企業で成功するための方法
私は、大企業・スタートアップそれぞれで数年働いてあることに気づきました。それは、
「企業の中では成功するためには、どれだけ貢献したかは重要ではない。重要なのは、自分がどのように貢献しているように見えるかだ」
ということです。驚くべきことに、これは企業の規模や大きさに関係しない、ということでした。
もちろん、どちらの企業でも、私は当初積極的な目標を設定し、その達成のために努力していました。しかし、四半期のレビューのタイミングで、少しでもうまくいかないことがあると、上司はこの内容を元に私を減点評価しがちなことに社会人になってしばらく経つと気がつきました。そこで私は、なるべく小さな目標を設定し、その目標にできるだけ早い段階で達成の目処をつけ、確実に完了させることで自分の時間を作り出すようにしました。私だけに限らず、企業で働く限り「それは自分の評価に繋がるのか」ということは従業員の行動を規定します。
では、OKR(Objective and Key Results)に基づいてパフォーマンスレビュー(給与設定)を行うと何が起きるでしょうか。
OKRに基づくパフォーマンスレビューは、従業員が目標を過小評価し、達成度を過大評価することにつながります。これは、インセンティブの発生により予想される論理的な結果となります。
以下では、OKRとパフォーマンスレビューをしっかりとリンクさせようとすると現れる主な問題点と、それを回避するためのヒントです。
OKR目標と給与設定を連動させた場合の問題点
問題点1:目標が過小評価されている
理論上は、Objectivesは向上心を持って設計すべきです。このためチームメンバーは、自分が達成可能だと思う以上のストレッチゴールを設定することが奨励されます。ストレッチゴールを設定したチームは、その高い目標を達成するために、創造的な解決策を探し、工夫をします。しかし、現実的な話としてほぼ全てのケースで、チームメンバーは目標が未達に終わります。OKR目標と給与設定を連動した場合、目標の未達は給与増加につながりません。このため、未達成に終わるリスクを減らすために、チームメンバーはさらに低い目標を設定します。
なお、ここでは、Google流のムーンショット目標、つまり70%~80%の達成率であれば許容、という目標について話しています。もしあなたのチームが100%達成すると期待しているものを使っている場合には、密接に結びついたパフォーマンスレビューが少しは機能する可能性があります。しかし、長い目で見れば、目標が控えめになってしまうでしょう。以上より、チームメンバーの成果に対する目線を上げるためにも、高い目標、低い目標、ともに報酬と連動した場合にチームの士気を下げることに長期では繋がります。
問題点2: 達成度合いの誇張
問題1で高い目標を設定した結果未達に終わる気配が漂い始め、チームメンバーが目標を下げ始めたとき、報酬を得るために彼らは依然として自分たちが適切な業績を出していることをアピールし、組織への貢献を正当化する必要があります。そして、そのようなチームは、組織に対する自分の影響力を誇張してしまいます。そうすると、実際よりも高い貢献をしているように見せかける文化が生まれてしまいます。そして、このような文化は組織の雰囲気を確実に悪くします。
さて、これまでに問題ばかりあげてきましたが、OKRとパフォーマンスレビューを連動させるためにはどうすれば良いでしょうか。
解決策1: 2つのプロセスを分ける
OKRとパフォーマンスレビューを緊密に結びつけるのではなく、できるだけ分離しましょう。このようにして、時間差を作ることで、OKRの達成に集中する期間と、評価の振り返りに集中する期間をチームメンバーに持たせることができます。
解決策2:パフォーマンスレビューに際して考慮する材料の一つとしてOKRを使う
もちろん、パフォーマンスレビューからOKRを完全に切り離すことはできません。しかし、それはパフォーマンスを評価するための材料の1つに過ぎず、全てではありません。そして、OKRの完了スコアを評価する際には、他の多くの要素を考慮に入れます。例えば、
・その目標がどれだけ難しいか
・どれだけ重要な目標だったか
・自分の行動がチームや組織にどのような影響を与えたか?
・チームメンバーが貢献した他の分野は何か
などです。
従業員として考慮すべきことと経営が考慮すべきことは全く異なる
さて、ここまで色々と記載して元も子もないことを書きます。現実的に客観的なパフォーマンスレビューのプロセスを作ることはほとんど不可能であり、常に主観に左右されるものになります。このような状況で運営される組織において、以下にして被評価者としてのあなたが、ご自身を評価させるかというテクニックをまとめた電子書籍が下記の書籍になります。こちらは、如何にして自身の評価を適切にさせるための自己評価を書くかという一点に焦点を絞った書籍です。宜しければご覧ください。
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